症状
小児期の臼蓋形成不全は基本的には乳児の時に超音波やX線(レントゲン)で診断される画像上の診断名なので、臨床的に問題となるような症状はありません。
ただ発育性股関節形成不全のように、大腿の皮膚溝(しわ)が非対称であったり、脚の開きが悪いこと(開排制限)があります。
要因と病態
乳児の臼蓋形成不全は股関節の骨盤側の出来が悪い(かぶりが悪い)ということなので、古くはかぶりが悪いから脱臼すると考えられたこともありましたが、現在は子宮内の肢位などのためであって、脱臼の原因ではないと考えられています。
一方、日本人では成人男性の0~2%、女性の2~7%が股関節形成不全といわれており、その方たちに小児期に何かあったか聞いても殆ど何もありません。
乳児期の臼蓋形成不全は基本的に自然改善すると考えるのが通説です。しかし、そうすると成人の臼蓋形成不全が何時、どんな形で成立するかが分かりません。ミッシングリングとでもいいますか、この点は現在も謎のままです。
診断
診断は乳児にしても成人にしても最終的にはX線写真で判定されます。いくつかの判定の目安や基準がありますので診断は困難ではありません。問題は、それが後年変形性股関節症として発症してくるかが不明なことです。
予防と治療
乳児期の臼蓋形成不全は予防不可能です。
治療は発育性股関節形成不全のようにリーメンビューゲルというひも型装具を装着することもありますが、行う必要はないという意見もあります。また装着しても、概して装着期間は短めとなるようです。
成人の臼蓋形成不全は変形性股関節症の前関節症にあたりますので、そちらを参照してください。
引用元
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