お知らせ 2025.04.07 半月板損傷のリハビリって何をする?|自宅でできるリハビリ3つを紹介

「半月板損傷だとリハビリが必要なのか」
「リハビリではどんなことを行うのか」
多くの方が適切なリハビリ方法がわからず、回復が遅れてしまうことがあります。膝の痛みがあるときに、あえて自ら膝を動かすのは怖いですよね。
正しい方法で行えば、半月板損傷からの回復は思ったよりもスムーズに進む可能性があります。
この記事では医学的根拠に基づいた効果的なリハビリ方法と避けるべきポイントを詳しく解説いたします。
今すぐ記事を読んで、実践することであなたも自信を持ってリハビリに取り組めるようになります。
半月板損傷のリハビリで行う基本的な方法3つ

半月板損傷のリハビリには効果的な方法が3つあります。正しい方法でリハビリを行うことで、膝の機能回復が早まり、日常生活への復帰が早くなります。重要なリハビリは以下の3つです。
- 膝の筋力トレーニング
- 膝の関節可動域練習
- 足への荷重練習
損傷の程度によって適切なリハビリ方法は異なりますので、医師や理学療法士と相談しながら進めていきましょう。
それでは順番に詳しく解説していきます。
膝の筋力トレーニング
膝の筋力トレーニングは半月板損傷からの回復に不可欠です。とくに大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を鍛えることで、膝の安定性が向上につながります¹。初期段階では以下のような簡単な運動から始めましょう。
- 等尺性収縮運動(大腿四頭筋セッティング)
- ストレートレッグレイズ
等尺性収縮運動は膝を伸ばした状態で太ももの筋肉を意識的に緊張させる運動です。膝に負担をかけずに筋力を維持できる基本のトレーニングです。

ストレートレッグレイズは仰向けに寝た状態から片脚をまっすぐ上げ下げする運動になります。

各トレーニング方法は進行に合わせて、徐々に負荷を増やしていくことが重要です。
たとえば、最初は自重だけの運動から始めて、徐々に回数を増やしたり軽いウェイトを使用したりします。
ただし、痛みを感じる範囲での運動は避けるようにしましょう。無理なトレーニングはかえって回復を遅らせる可能性があります。
膝の筋力トレーニングは継続的に行うことで効果が出てきますので、毎日少しずつでも続けていきましょう。
膝の関節可動域練習
膝の関節可動域練習は硬くなった膝を柔軟にするために必須です。膝の動きがスムーズになり、日常生活での動作が楽になります。とり入れたい練習は以下の通りです。
- 仰向けで膝曲げ伸ばし
- 壁を使った膝曲げ伸ばし
- タオルを使った膝の曲げ伸ばし
仰向けで膝曲げ伸ばしは仰向けの状態でかかとを床に付けたまま膝を曲げ伸ばしする運動です。膝への負担が少なく、リハビリの初期段階から取り入れやすい練習方法です。

壁を使った膝曲げ伸ばしは、壁に足を置いて膝をゆっくり曲げ伸ばしする方法で、自分のペースで可動域を広げられます。
注意点として、無理に曲げ伸ばしをしないようにしましょう。痛みを感じる範囲を超えて動かすと炎症を悪化させる可能性があります。焦らずゆっくりと進めることが結果的に回復を早める可能性もあります。
関節可動域練習は毎日少しずつ進めていくことで効果が現れますので、継続的に取り組みましょう。
足への荷重練習
徐々に膝に体重をかける荷重練習をすることで、歩行能力が回復し自立した生活に近づくことができます。荷重練習には以下のようなものがあります。
- 部分荷重による立位練習
- バランスボードを使った練習
- ステップ運動
部分荷重による立位練習は、平行棒や歩行器を使いながら徐々に患側の足に体重をかけていく練習です。損傷した半月板には部分荷重からリハビリを開始することが望ましいとされています²。
バランスボードを使った練習は膝の安定性と固有受容感覚を向上させるのに効果的です。
荷重練習の注意点は医師の指示に従って行うようにしましょう。
損傷の程度によっては、すぐに全体重をかけることができない場合もあります。
たとえば、半月板を縫合した後のリハビリでは、医師の指示に従って荷重量を徐々に増やしていく必要があります。急いで全体重をかけると修復した組織が再び損傷するリスクがあります。
荷重練習を進める際には、膝の腫れや痛みの変化に注意を払い、異常を感じたら医師に相談しましょう。
徐々に荷重量を増やしながら膝の機能を回復させることが、日常生活への早期復帰につながります。
半月板損傷のリハビリで絶対にやってはいけないこと3つ

半月板損傷のリハビリ中には避けるべき行動が3つあります。これらを知っておくことで、
回復の遅れや症状の悪化を防ぐことができる可能性があります。注意すべきポイントは以下の通りです。
- 膝が痛むときは無理しない
- 膝を深く曲げる動作をしない
- 医師に相談せず自己流で行わない
一見当たり前のことに思えるかもしれませんが、ご自身でのリハビリ中に、忘れがちな重要事項です。
膝が痛むときは無理しない
膝に痛みを感じているときは絶対に無理をしてはいけません。痛みは体からの警告信号であり、無視すると症状が悪化する可能性が高くなります。
「痛みは我慢するもの」という考え方は実はとても危険です。
半月板損傷では、痛みを感じる動きを続けると、損傷部位がさらに傷つく可能性があります。
運動中に痛みが生じる場合には、運動強度や種類を調整すべきです。
痛みのない範囲で行える別の運動に切り替えたり、その日は休息に当てたりするのも重要な選択肢です。
医師や理学療法士に痛みについて正直に伝え、適切な指導を受けることも回復への近道になるでしょう。
無理をして一時的に回復が遅れるよりも、適切な休息をとった方が長期的に見て着実に回復していきます。
膝を深く曲げる動作をしない
膝を深く曲げる動作は避けましょう。なぜなら、膝を深く曲げると半月板に大きな負担をかける可能性があるからです。
とくに、正座やしゃがみ込み動作は膝関節に圧力をかけ、半月板が挟み込まれる形になるため損傷部位に強い負担がかかります。
注意したい動作としては、床上動作です。
たとえば、床に落ちた物を拾おうとしたときに自然にしゃがみ込んでしまいます。また、正座は痛みを誘発してしまう動作のため危険です。
また、半月板損傷のリハビリ中は膝を深く曲げる動作を避け、回復に合わせて徐々に可動域を広げていくことが重要必要があります。
医師に相談せず自己流で行わない
医師に相談せずに自己流でリハビリをおこなうと膝の痛みを悪化させてしまう可能性があるため危険です。半月板損傷の状態や回復段階は個人によって大きく異なるため、専門家の適切な指導が必要になります。
自己流リハビリには以下のような問題点があります。
- 損傷の程度を正確に把握できない
- 回復段階に合わない運動を行ってしまう
- インターネット上の情報が自分に適していないことがある
医学的な知識がない状態でおこなうリハビリは、たとえ良かれと思ってやっていても、症状を悪化させる可能性があります。
たとえば、インターネットで見つけた「半月板損傷に効果的なストレッチ」が、実はあなたの損傷のタイプや回復段階には適していない場合があります。
だからこそ、リハビリプログラムは医師や理学療法士と相談して決めることが大切です。
定期的な診察を受けながら、回復状況に合わせてプログラムを調整していきましょう。
医師との連携を密にすることで、適切な時期に適切な運動を行うことができ、結果的に回復が早まるでしょう。
半月板損傷のリハビリ期間と回復の目安

半月板損傷のリハビリ期間は個人差があります。正しい知識を持っておくことで、焦らず適切なペースで回復にむかえるでしょう。リハビリ期間の目安に関するポイントは以下の通りです。
- リハビリの成果が出るまでの目安
- 手術せずに治るケースと手術が必要なケース
これらの情報を知っておくことで、自分の回復過程を理解しやすくなります。また、過度な期待や不安を持たずに、現実的な見通しを持つことができるでしょう。
それでは詳しく解説していきます。
リハビリの成果が出るまでの目安
半月板損傷のリハビリ効果が実感できるまでには一定の時間がかかります。個人差はありますが、継続的なリハビリによって徐々に膝の状態は改善していきます。
痛みの軽減は適切な休息と初期のリハビリで、比較的早い段階で実感できることが多いです。しかし、関節可動域の改善には少し時間がかかります。
ただし、回復のスピードは損傷の程度や個人の体質、年齢によって大きく異なります。
リハビリはいわば「マラソン」であって「短距離走」ではありません。
焦らず地道に継続することが、結果的に最も効率の良い回復につながります。
定期的に医師の診察を受けながら、自分の回復状況を確認し、リハビリを行っていきましょう。
手術せずに治るケースと手術が必要なケース
半月板損傷が手術なしで治るか、手術が必要かは損傷の種類や程度によって判断されます。手術の必要性を判断する主な要素は以下の通りです。
- 損傷の場所と大きさ
- 膝の不安定さの程度
- 患者の年齢と活動レベル
- 保存療法での改善度合い
半月板の外側部分は血流が豊富なため、小さな損傷であれば、手術せずに治癒する可能性があります。
一方、内側や血流の乏しい部分の損傷、大きな断裂や複雑な損傷の場合は、手術が必要になることが多くなります³。
たとえば、軽度の半月板損傷を抱えた患者様は8週間の保存療法(リハビリ)で症状がほぼ改善するケースもあれば、逆に、スポーツ中に起きた大きな断裂のケースでは、手術が必要になるケースもあります。
大切なのは、手術の必要性は医師が総合的に判断するということです。MRIや症状だけでなく、患者様の生活スタイルや希望も考慮されます。
保存療法を6〜8週間試して改善が見られない場合は、手術を検討する場合もあります。
ただし、手術後もリハビリは必要であり、回復にはやはり時間がかかります。
手術の必要性については、医師としっかり相談し、十分な情報を得た上で決断することが大切です。
まとめ

半月板損傷のリハビリは正しい知識と適切な方法で行うことが重要です。基本的な3つの方法を覚えておきましょう。
- 膝の筋力トレーニング
- 関節可動域練習
- 荷重練習
を着実に行いましょう。
痛みを感じる際の無理は禁物で、膝を深く曲げる動作を避け必ず医師の指導のもとでリハビリを進めることが大切です。
回復には個人差があり、リハビリの成果が出るまでには一定の時間がかかります。焦らず継続することで、確実な回復につなげましょう。
損傷の程度によっては保存療法で改善するケースと、手術が必要なケースがありますが、いずれにしても適切なリハビリが回復の鍵となります。
膝の健康を取り戻し、日常生活やスポーツへの復帰を目指して、地道にリハビリに取り組んでいきましょう。
参考
1)半月板摘出術後における大腿四頭筋筋力の継時的観察
2)半月板を介在して荷重を担う軟骨の組織学的
3)Meniscus Tear: Pathology, Incidence, and Management