コラム 2025.05.26 足のむくみ、何科を受診すればいい?|原因と受診のタイミングも解説
「足のむくみが気になるけど、何科に行けばいいの?」
「ただのむくみと思って放置しても大丈夫?」
足のむくみを感じたとき、多くの方がどの診療科を受診すべきか迷ったり「たいしたことない」「年のせい」と自己判断で放置してしまったりすることがあります。
しかし、足のむくみは単なる一時的な不調ではなく、体に隠れた病気のサインかもしれません。放置することで、深刻な事態を招く可能性もあります。
この記事では
- 足のむくみで受診すべき診療科
- 考えられる主な原因
- 病院へ行くべき危険なサイン
について詳しく解説します。
この記事を読めば、足のむくみに対する正しい知識と適切な対応がわかり、不安の解消につながるでしょう。
足のむくみで受診すべき診療科は?

足のむくみが気になるとき、どの診療科を受診すればよいか迷うことがありますよね。基本的な考え方と、状況に応じた選択肢を知っておきましょう。
まず、足のむくみでは「内科」で診察できます。
内科では、むくみの原因となりうる心臓や腎臓の異常など、全身の状態を幅広く調べてもらえます。また、どの診療科を受診すべきか判断に迷う場合も、かかりつけ医やお近くの内科で相談すれば、適切なアドバイスをもらえます。
内科での診察の結果、心臓に問題があれば循環器内科、腎臓に問題があれば腎臓内科など、より専門的な検査や治療が必要な場合は、適切な専門科へ紹介することもできます。
とくに、高齢者のむくみでは、内臓の不調が隠れているケースも少なくありません。「年のせい」と自己判断せず、判断に迷ったらまずは内科で診てもらうと安心です。
足のむくみが起こる主な原因3つ

足のむくみには、さまざまな原因がありますが、主な原因として以下の3つを紹介します。
- 生活習慣の不良
- 栄養の不足
- 内臓疾患による循環不良
それでは順番に詳しく解説していきます。
1. 生活習慣の不良
日常生活の習慣が、足のむくみを引き起こす大きな原因となることがあります。
- 長時間座りっぱなし
- 立ちっぱなし
- 運動不足
- 塩分の取りすぎ
これらは、足の血流を悪くし、むくみを引き起こします。
また、塩分の摂りすぎは体内に水分を溜め込みやすくなり、むくみの原因となります。筋力低下、ストレス、体の冷えなども血行不良を招き、むくみにつながることがあります。
とくに、高齢者ではこれらの要因が複合的に影響しやすいため注意しましょう。
2. 栄養の不足
高齢者に見られやすいむくみの原因として、栄養不足があげられます。食事量の減少から低栄養状態になると、血液中のタンパク質の一種であるアルブミンが不足する「低アルブミン血症」になることがあります。
アルブミンには血管内に水分を保持する働きがあります。そのため、アルブミンが不足すると血管から水分が漏れ出しやすくなり、足首や足の指などがむくんでしまいます。
3. 内臓疾患による循環不良
心臓や腎臓などの内臓の病気が原因で、むくみが起こることもあります。これは注意が必要なむくみです。心臓や腎臓の機能が低下すると、血液や体液(水分)の循環がうまくいかなくなり、体に余分な水分が溜まって足のむくみとして現れます。
このタイプのむくみは、片足だけでなく両足に起こりやすい傾向があります。また、息切れや倦怠感(体のだるさ)など、むくみ以外の全身症状を伴うことが多いのも特徴です。
危険なサイン?足のむくみで病院に行くべきタイミング3つ

「ただのむくみ」と軽視していると、危険な病気を見逃してしまう可能性があります。以下のような症状がむくみと同時に現れた場合は、単なるむくみではない可能性が高いため、早急に医療機関を受診してください。
- 痛みや赤みがある
- 息苦しさや動悸がする
- 短期間で体重が増えた
これらのサインは、体が発している重要な警告かもしれません。見逃さないようにしましょう。
1. 痛みや赤みがある
むくんでいる足に、痛み、熱っぽさ、赤みが伴う場合は注意が必要です。考えられる病気としては、血管の中に血の塊(血栓)ができる深部静脈血栓症や、皮膚が細菌に感染する蜂窩織炎(ほうかしきえん)などが隠れている可能性があります。
とくに深部静脈血栓症の場合、できた血栓が血流に乗って肺まで運ばれると、命に関わる肺塞栓症を引き起こす危険があります。痛みや赤みを伴うむくみは、速やかに受診しましょう。
2. 息苦しさや動悸がする
足のむくみに加えて、息苦しさ(呼吸困難)や動悸を感じる場合は、深刻な病気のサインである可能性が高いです。考えられる病気としては、心臓のポンプ機能が低下する心不全などが疑われます。
心不全では、初期症状として息切れや足のむくみが現れることがよくあります。これらの症状が出たら、心臓からのSOSサインかもしれません。できるだけ早く医療機関を受診してください。
3. 短期間で体重が増えた
むくみとともに、短期間で急激に体重が増加した場合も受診が必要です。目安としては、例えば1週間で2~3kgも体重が増えるような場合は、体内に余分な水分が異常に溜まっている可能性が高いと考えられます。
息苦しさや動悸と同様に、心不全によるむくみの悪化などが疑われます。短期間で急激に体重が増えたときは、自己判断せず、速やかに医療機関に相談しましょう。
足のむくみを放置するリスク

足のむくみを「いつものこと」「年のせい」などと放置しておくと、見た目の問題だけでなく、以下のような深刻な合併症や、原因となっている病気の悪化を招く可能性があります。
血栓症のリスクとして、足の静脈に血液が滞った状態(うっ滞)が続くと、血管内に血栓(血のかたまり)ができやすくなります。これが深部静脈血栓症です。
さらに、血栓が肺に飛ぶと肺塞栓症という命に関わる状態になる危険があります。皮膚トラブルとしては、慢性的なむくみは皮膚にも悪影響を及ぼします。
長期間むくみが続くと、皮膚の色素沈着(黒ずみ)や硬化が起こり、さらに進行すると皮膚がひび割れたり、潰瘍(皮膚の傷)ができて治りにくくなったりすることがあります。こうした皮膚トラブルは、細菌感染のリスクも高めます。
基礎疾患の悪化については、むくみの原因となっている心臓や腎臓の病気を放置すれば、当然ながら病気そのものが進行・悪化します。心不全が進行すれば命に関わりますし、腎臓の機能低下が進めば、将来的に人工透析が必要になる可能性もあります。
まとめ|足のむくみ、迷ったらまず内科へ
足のむくみは、決して見た目だけの問題ではありません。時には、体に隠れた病気を知らせるサインとなっている場合があります。
特に高齢の方は「年のせい」と軽く考えがちですが、自己判断は禁物です。少しでも気になるむくみがあれば、早めに内科を受診して相談することが非常に大切です。
早期に受診し、むくみの原因を正確に特定し、適切な対処を行えば、心不全や腎不全といった重篤な病気の進行や悪化を未然に防ぐことにつながります。「むくみくらい」と放置して手遅れになる前に、迷ったらまずは内科を受診しての診断を仰ぎましょう。
内科では、問診や診察に加え、必要に応じて血液検査や尿検査、心電図、胸部レントゲンなどの検査を行い、むくみの原因を調べます。そして、原因に応じた治療(利尿剤で余分な水分を排出させる、心臓や腎臓の病気に対する治療など)や、塩分制限・運動などの生活習慣の指導を受けることができます。
足のむくみにお困りの際は、「どうしようか」と迷う前に、まずは内科への受診を検討してください。診察してもらうことで安心感が得られ、早期治療によって健康な生活を取り戻すための大切な第一歩となります。